失われた数学的直観の回復Recovering Mathematical Intuition
Phase 1 / Linear Algebra

ベクトルとは何か

ベクトルを「数字の並び」ではなく、空間内の差分・方向・関係として読む。

0. このノートの位置づけ

このページは、線形代数への最初の入口として、ベクトルを点・位置・差分・関係の側から整理する。目的は、計算手順に入る前に、ベクトルが何を表しているのかを図形的に掴むことである。

1. ベクトルは数字の並びではない

たとえば、

$$\begin{pmatrix}3\\2\end{pmatrix}$$

は、単に「3と2」ではない。ある空間の中で、右に3、上に2だけ進むという関係・移動・差分を表している。

ベクトルは、点そのものというより、あるものから別のものへ向かう差であり、空間の中に置かれた向きと大きさであり、座標で表現された関係である。

2. 点Aから点Bへの差分

点Aが \(A=(1,4)\)、点Bが \(B=(4,6)\) なら、AからBへのベクトルは、

$$B-A=(4-1,\ 6-4)=(3,2)$$

になる。つまり、AからBへ行くには、右に3、上に2だけ進めばよい。

3. 位置ベクトルと変位ベクトル

見方意味
原点から点への矢印位置ベクトル
点Aから点Bへの差分変位ベクトル

本質的には、後者の「差分・関係」として見る方が強い。ただし、原点を決めると、点を原点からのベクトルとして表せる。

4. 三次元、四次元、高次元のベクトル

三次元なら成分は3個、四次元なら成分は4個になる。

$$\begin{pmatrix}x_1\\x_2\\x_3\\\vdots\\x_n\end{pmatrix}$$

成分が n 個あるものを n 次元ベクトルと呼ぶ。人間には図示できない高次元でも、数学的には「空間内の点・方向・関係」として扱える。